スローシンクロ 〜恋するカメラ女子〜
春木さんが顔を上げた。
そのぽかんとした表情を見てハッと我に返り、目を逸らす。


「す、すみません……」

「いや……そんなに素直に褒められると、照れるのも忘れるよね」


あんたのそういうとこほんとにスゴイと思う、と続けて
春木さんは新種の生き物でも観察するように、しげしげと私を眺めている。

あまりの恥ずかしさに顔から火が出そうだ。

この空気を断ち切ろうと、私は勢いよく立ち上がり棚の整理を再開した。


「そういやさ」

「はい」

「俺、まだ見せてもらった事ないんだけど。あんたが撮った写真」

「え?」


そう言われればそうだ。
というより、春木さんに見てもらおうなんて考えた事もなかった。

もしかしたらアシスタントの面接で必要かもしれないと作った作品ファイルは、結局私のデスクの引き出しにしまわれっぱなしになっていた。


「いま見せてよ。」
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