スローシンクロ 〜恋するカメラ女子〜
ベッドの上で夢と現実の狭間をうろついていると、また携帯が鳴った。

部屋の中は真っ暗だ。
手探りで掴み、相手の名前も確認しないまま耳に当てる。


「はい」

『……』

「もしもし?」


電話の向こうからは、誰かの息遣いのみが微かに聞こえてくる。


『非通知設定』


画面上にはそう表示されていた。



「……」



再び電話を耳に当てても、聞こえてくるのはやっぱり規則的な吐息だけだ。

何だか気味が悪くなり、こちらから電話を切った。
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