スローシンクロ 〜恋するカメラ女子〜

ようやく目が覚め体を起こすと、時計の針は六時を指していた。
カーテンから透ける日の光で朝になったのだとわかった。

カーテンを開け、三日ぶりに外を見る。
春の穏やかな空気に満ちた街は、もう動き始めている。


その場で思いきり伸ばした体に、血が巡るのを感じた。


……今日から事務所に行こう。


やっとそう思えた。


自分の気持ちと向き合いながら
今出来る事をしよう。



「さてと、」



身支度に取りかかった時にはもう、夜中の無言電話の事はすっかり頭から消えていた。