スローシンクロ 〜恋するカメラ女子〜
やがて空が暗くなると、窓の外に広がるビル街に明かりが灯り始めた。
見慣れた景色がネオンで彩られていく。


タイミングを見計らい、鞄の中から一眼レフを取り出した。
事務所に幾つも置いてある三脚の一つを組み立て、窓の正面にセットする。


まるで誰かに命令されているみたいに、勝手に体が動く。


三脚にカメラを取り付けた後
深く、息を吐いた。



こんな夜景の撮影技術を
私は彼に貰っている。


どうしても
今、この場所で形にしたかった。



「スローシンクロで撮る……」
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