スローシンクロ 〜恋するカメラ女子〜
ハッと顔を上げ、相手を確認する。
表示された文字を見た瞬間、涙が引いた。


『非通知設定』


「また?」



昨夜の無言電話を思い出す。
同じ人だろうか。


「はい」

『……』

「あの。どちらさまですか?」


相手は何も答えない。

昨夜より大きな音で
ゆっくりゆっくり呼吸を繰り返すばかりだ。


得体のしれない不気味さに身の毛がよだち、すぐに電話を切った。


ただのイタズラ…だよね?


頭を覗かせる恐怖心に蓋をして
携帯を鞄の奥にしまい込んだ。
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