スローシンクロ 〜恋するカメラ女子〜
非通知でかかってくる無言電話の数は日に日に増えていった。
電話にはもう出ないようにしていたが、それでも着信音が鳴る度に身が縮こまる。
とうとう一日中マナーモードに設定するようになった。
春木さんがアメリカへ旅立ってからちょうど一週間目の朝。
その日も事務所で片付けの続きをする予定だった。
たまたまアラームが鳴る直前に目覚め、アラームを解除しようとベッドサイドに置かれた携帯を手に取った。
『着信あり 53件』
常識外れの数字に、目を疑った。
額にぶわっと汗が浮かぶ。
すぐに確認した着信履歴は
『非通知設定』の文字で埋め尽くされていた。