スローシンクロ 〜恋するカメラ女子〜
春木さんの急な発表から十日後。
私たちは本当にパリに旅立った。
仕事の合間を縫って申請の手続きをした私のパスポートは春木さんの言葉通りギリギリで交付され、始めて手にしたそれに感動しているうちに出発当日になった。
春木さんと行動を共にして数ヶ月。
その実力主義ゆえの傍若無人ぶりにも少しは慣れてきたと思っていたけれど、まだまだ甘かった。
まさか国境を越えて連れ回されるとは。
「寝ておいた方がいいよ。時差ボケで辛くなる」
飛行機が離陸してすぐ、窓の外を見ながら考え事をしていた私に春木さんが隣の席から話しかけてきた。
「あ、はい…」
「緊張してんの?初海外だから」
「そうかもしれません」
「珍しく大人しいもんね」
春木さんのいつもの皮肉を聞き流し、再び窓の外に目をやる。
「知り合いのカメラマンさんとは現地で合流ですか?」
「うん。まぁ撮るのは別だけど。前から来いって誘われててさ。仕事があるから断ってたんだけど、ぽっかり数日空いたから」
今回の旅は一応、現地に在住している春木さんのカメラ仲間に会いに行きがてらの撮影旅行になるらしい。
でも春木さんの仕事のスケジュールの関係で、ニ泊四日という短い滞在になりそうだった。
私たちは本当にパリに旅立った。
仕事の合間を縫って申請の手続きをした私のパスポートは春木さんの言葉通りギリギリで交付され、始めて手にしたそれに感動しているうちに出発当日になった。
春木さんと行動を共にして数ヶ月。
その実力主義ゆえの傍若無人ぶりにも少しは慣れてきたと思っていたけれど、まだまだ甘かった。
まさか国境を越えて連れ回されるとは。
「寝ておいた方がいいよ。時差ボケで辛くなる」
飛行機が離陸してすぐ、窓の外を見ながら考え事をしていた私に春木さんが隣の席から話しかけてきた。
「あ、はい…」
「緊張してんの?初海外だから」
「そうかもしれません」
「珍しく大人しいもんね」
春木さんのいつもの皮肉を聞き流し、再び窓の外に目をやる。
「知り合いのカメラマンさんとは現地で合流ですか?」
「うん。まぁ撮るのは別だけど。前から来いって誘われててさ。仕事があるから断ってたんだけど、ぽっかり数日空いたから」
今回の旅は一応、現地に在住している春木さんのカメラ仲間に会いに行きがてらの撮影旅行になるらしい。
でも春木さんの仕事のスケジュールの関係で、ニ泊四日という短い滞在になりそうだった。