スローシンクロ 〜恋するカメラ女子〜
開いた自動ドアに体を滑り込ませる。
振り返ると、岳が呆然とこちらを見ていた。


「早く来いよ」

「……あぁ、」


並んでエレベーターに乗り込んだ。


「マスコミか?」

「違うだろ。家の写真まで撮られてる」

「じゃあ、」


岳はその先を言葉にするのを躊躇ったようだ。
二人とも無言のまま、エレベーターは上昇を続ける。


2階、3階、4階……。



チン、と音がして扉が開いた瞬間、


「おい、あれ!」

「あ…、」


廊下に横たわっているヒナの姿が目に飛び込んできた。
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