スローシンクロ 〜恋するカメラ女子〜
「ヒナ!」

「ヒナちゃん!」


うつ伏せで倒れているヒナを、駆け寄った岳が抱き起こした。

名前を呼びながら頬を軽く打つも、ヒナは何の反応も示さない。
前髪が汗で額に張り付いていた。


「うわ、すごい熱……!」


岳が自分の着ていたシャツを脱ぎ、それで彼女の体を包んでいる。


ふと廊下の端に目を向けると、トートバッグが転がっていた。
ヒナがいつも使っていたものだ。
中身が飛び出し、その場に散乱している。


「おい、リョウ」


岳の制止を振り切り、バッグの口から覗く黒いゴミ袋を引っ張り出す。

嫌な予感は的中した。

中から現れたのは、おびただしい数の写真だった。
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