スローシンクロ 〜恋するカメラ女子〜
ベッド横のサイドボードに置かれたカレンダーに目をやる。

そっか。
丸二日眠っていたという事は、春木さんはもう日本にいるんだ。

まだ生乾きの心の傷が、微かに疼く。


「一條さんがここまで運んでくれたんですか?」

「運んだのは俺。でも倒れてるヒナちゃんの事は、リョウと一緒に見つけたよ」


そこまで言って、一條さんは表情を引き締めた。
絡めた指先に痛いくらいの力が込められる。


「気が付かなくてごめん。怖い思いしてたんだね」

「え?」

「見たよ。隠し撮りされた写真」


一條さんにそう言われた途端


「あ……、」


頭の中に数日前の恐怖がフラッシュバックして
涙がどくどくと流れ出てきた。
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