スローシンクロ 〜恋するカメラ女子〜
「違うんです。誰かに相談すれば良かったんですけど…でも、私…どうしたらいいかわからなくて……」

「……うん。そうだよね」


一條さんは私の髪を撫でながら、落ち着いた顔で話を聞いてくれた。

隣に彼がいてくれる。
その安堵感で張りつめていた心の糸がぷっつりと切れてしまった。
溢れ出る涙は止まる気配を見せない。


「あの。春木さんも写真見ちゃったんですよね?」


トートバッグに隠していた大量の写真を思い出す。

春木さんの目に触れぬようこっそりと処分するつもりだったが、失敗してしまった。
最後まで面倒事を持ち込んで、うんざりしているだろうか。



「うん。かなり怒ってた。俺にね?」



涙を拭う手を止めて一條さんを見る。

私の不思議そうな視線に気がついたのか、一條さんは口の端に笑みを浮かべ話し始めた。
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