スローシンクロ 〜恋するカメラ女子〜
何の用だろう?
不思議に思いながらソファに腰かけ携帯を耳に当てる。


「はい」

『春木くん?久しぶりだね。元気でやってるかい?』

「お久しぶりです。何とかやってます」


彼と話をするのは個展会場が火事に見舞われて以来の事だ。


『実はね。新しいギャラリーを建設する目処がたったんだ』

「え?」


電話の向こうのオーナーの声は弾んでいた。

全焼してしまったギャラリーと同じ場所に再建する予定な事、もう業者の手配も済ませた事。
近々着工の時期が正式に決まる事を早口で教えてくれた。



『春木くんにだけは早く知らせたかったんだよ』

「それは……おめでとうございます」

『今度こそ、春木くんの個展を開催させてほしい。約束通り一番最初に』

「はい。もちろんです」



突然飛び込んできた朗報に、まだ実感が湧かず呆然としてしまう。
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