スローシンクロ 〜恋するカメラ女子〜
いい歳して上手く諦める事も出来ないなんて、格好悪くて笑えてくる。
何だか最近、後ろを向いてばかりな気がする。

でもそれが後悔だなんて思いたくなかった。


選んだんだ。
全部自分で。


それは以前、俺がカレンに言った言葉でもあった。



いい加減前に進まなくちゃダメだろ?



無理矢理気持ちを切り替える。




とりあえず明日からの仕事に備え、撮影で使用する道具の確認をする事にした。


昔からカメラの手入れをしていると不思議と心が落ち着く。



無心でレンズを磨いていると、廊下から足音が聞こえてきた。


誰かがすごい勢いでこちらへ駆けてくる。



振り返った瞬間
がちゃり、と事務所の鍵が開いた。
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