スローシンクロ 〜恋するカメラ女子〜
「私……私、アシスタント辞めません!」

「は?」

「側にいたいんです!春木さんが撮る写真、ずっとずっと近くで見ていたいんです!」


春木さんは眉間の皺を深め唇を噛んだ。
それきり何も言ってくれない。

気まずい沈黙の間に、また一段と夜の気配が濃くなる。



「……岳のところにいけって言っただろ」



吐き捨てるような言葉。私は首を振る。


「嫌です。だって、」


ダメだ。

泣いちゃ、ダメだ。



「だって、私が好きなのは春木さんなんです」



好きな人に好きというだけで涙が出る。
昔、そんな歌があったのを思い出した。



「春木さんだけなんです!」



上京してから、私は本当に泣き虫になってしまった。

しゃくりあげ言葉に詰まりながら、何とか最後まで言い切った。
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