スローシンクロ 〜恋するカメラ女子〜
春木リョウ。

その名前は、私の脳裏に深く刻みこまれている。

数百年に一人の逸材だと高い評価を受けている彼は、最近海外の有名なコンクールで賞を受賞し、写真家としてますます脚光を浴びてきていた。

彼の写真展には何度も足を運んだし、作品集だって全部持っている。


「普通、こういう専門職の採用は知識も経験もあって然るべきなんだよ。いや確かに募集要項には記載しなかったけれどね、そこは暗黙の了解というか。わかるだろう?キミみたいなズブの素人がポンと入ってやっていける世界じゃ…」

「あ!あのっ、」


私はパッと顔を上げて二人の面接官を交互に見た。


確かに私にはカメラマンとして活動した経験は無い。

でも、写真を撮る事は大好きだ。

それに……


「高校時代は、写真部に所属していました!」


記憶の片隅から引っ張り出した唯一の経験を、力強く口にする。
自分が持っているとっておきの武器を見せつけてやる気持ちで。


「……ふっ、」
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