スローシンクロ 〜恋するカメラ女子〜
第2章
チャンス到来
日本へ帰国後、しばらくは日々慌ただしく過ごしていた。
春木さんのアシスタントになってあっという間に半年が経ち、いろんな撮影現場に同行するようになった。
春木さんも少しずつカメラマンとしての仕事のノウハウを教えてくれる。
彼が何を欲しているか。
今、自分にできる仕事は何か。
毎日頭をフル回転させて考えなくてはならなかった。
春木さんの相変わらずの軽口も、受け流すコツを掴んできている。
そんなある日の事。
事務所に一人の男性が訪ねてきた。
「実はうちのギャラリーで、春木くんの個展を開催しないかと思ってね」
春木さんと面識があるらしい初老のその男性は、にこやかにそう言った。
「個展、ですか」
春木さんは差し出された地図を眺めている。
「けっこう大きな会場ですね」
「そうなんだ。まだオープンしたてで写真展はやった事がなくてね。春木くんの写真なら集客も見込めるだろう」
「俺一人でいいんですか?」
「あぁ。人気と実力を考えたら当たり前だろう」
「すごい!!」
お茶出しをしていた私は、その言葉を聞いて思わず叫んでしまった。
「個展って初めてですもんね、春木さん!いつも誰かと共同開催で。会場全部が春木さんの写真展になるなんてすごい!すごく素敵です!」
「……いいから。恥ずかしいから黙って」
広げられた資料を食い入るように見つめる私の頭を春木さんが後ろから小突く。
慌てて両手を引っ込めると、男性はクスクスと笑っていた。
「前回の写真展の作品ファイル持ってきて」
春木さんにそう命じられそそくさと部屋を後にする。
春木さんのアシスタントになってあっという間に半年が経ち、いろんな撮影現場に同行するようになった。
春木さんも少しずつカメラマンとしての仕事のノウハウを教えてくれる。
彼が何を欲しているか。
今、自分にできる仕事は何か。
毎日頭をフル回転させて考えなくてはならなかった。
春木さんの相変わらずの軽口も、受け流すコツを掴んできている。
そんなある日の事。
事務所に一人の男性が訪ねてきた。
「実はうちのギャラリーで、春木くんの個展を開催しないかと思ってね」
春木さんと面識があるらしい初老のその男性は、にこやかにそう言った。
「個展、ですか」
春木さんは差し出された地図を眺めている。
「けっこう大きな会場ですね」
「そうなんだ。まだオープンしたてで写真展はやった事がなくてね。春木くんの写真なら集客も見込めるだろう」
「俺一人でいいんですか?」
「あぁ。人気と実力を考えたら当たり前だろう」
「すごい!!」
お茶出しをしていた私は、その言葉を聞いて思わず叫んでしまった。
「個展って初めてですもんね、春木さん!いつも誰かと共同開催で。会場全部が春木さんの写真展になるなんてすごい!すごく素敵です!」
「……いいから。恥ずかしいから黙って」
広げられた資料を食い入るように見つめる私の頭を春木さんが後ろから小突く。
慌てて両手を引っ込めると、男性はクスクスと笑っていた。
「前回の写真展の作品ファイル持ってきて」
春木さんにそう命じられそそくさと部屋を後にする。