スローシンクロ 〜恋するカメラ女子〜
ファイルを胸に抱えて戻り、扉を開けようとした瞬間


「随分熱心なアシスタントさんだね。」


中から男性の声が聞こえてきた。
自分の話をされている事に気付き、つい耳をそばだててしまう。


「えぇ、まぁ」


春木さんが苦笑している。


「あいつ写真に関してはてんで素人なんですけど。意外と根性あるんですよ」

「へぇ。春木くんがそんな事言うなんて意外だな」

「毎日うるさいですけどね。」


褒められている……訳ではなさそうだけれど、邪魔に思われている訳でもなさそうだ。
嬉しさがお腹の辺りからくつくつとこみ上げてくるのを感じる。


これからも役に立ちたい。


春木さんが素敵な写真を生み出すために全力でサポートしようと心に決めた。
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