スローシンクロ 〜恋するカメラ女子〜
彼は、二人の面接官とは少し離れた場所にパイプ椅子を置いた。
予想外の本人登場に、ただでさえ緊張している私の心拍数はますます跳ね上がる。


「あ…で、まぁ一応面接続けますけども」


向き直った面接官の言葉に、心の中だけでため息を吐く。


……やっぱり素人の私なんかが応募しちゃいけなかったんだ。当たり前だよね。



「どうして春木くんのアシスタントがやりたいの?」



応募者は、他にもたくさんいるんだろう。
それこそ即戦力になるプロのカメラマンがゴロゴロと。
まず間違いなく私は不合格だ。


「それは、」


せめて、自分の正直な気持ちを話して帰ろう。
せっかく本人がいるんだもん。



「……春木さんの写真の大ファンだからです」
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