スローシンクロ 〜恋するカメラ女子〜
天真爛漫な笑顔で駆けてきたその人は、春木さんの前で立ち止まる。


「久しぶり。元気そうだね」


つやつやと毛先まで輝く髪。
長い睫毛に縁取られた瞳。
すっと通った鼻筋。
歌うように話す声まで。


まるで女神みたいだ。

その美しさに、思わず息をのむ。


「……あぁ」


春木さんは呟くように一言だけ返す。
西澤さんは静かに微笑んだままだ。


「今、この子と組んでるんだ?」


春木さんの隣でカメラを持っている私に気が付いたらしい。

高めのヒールを履いている彼女は春木さんとほぼ同じ身長で、自然と見下ろされる形になる。


「……ふふ。可愛い」


私にもにっこり笑いかけ、西澤さんはその場から離れていく。

春木さんは
いつまでも彼女の後ろ姿を見つめていた。
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