スローシンクロ 〜恋するカメラ女子〜
「ここが事務所。で、合鍵」
「あ、はい!」
春木さんが放って寄越した合鍵を、私は何とかキャッチした。
面接から一ヶ月後。
私は春木さんの個人事務所に案内されていた。
事務所といっても、想像していたものとはちょっと違う。
古いビルの一室で、本がぎっしり詰まった本棚の他には二つの机。
その上にはそれぞれデスクトップ型のパソコンと、資料なのか無数の紙が散乱している。
それと撮影に使うのであろう一眼レフのカメラがいくつかと、たくさんのレンズ。
名前のわからない道具たち。
部屋の隅には、大きな白いソファ。
それが、ここにあるものの全てだった。
「狭いだろうけど勘弁して。一人で全部やってたから、これくらいの広さで充分なんだ。あんたの机はこっちな」
「はい」
「一応ワンフロア、っつっても二部屋。うちのものだけど、あっちは物置みたいなもん。写真現像したりはするけど」
「はい……」
春木さんに着いてきょろきょろと辺りを見回しながら、必死で説明を頭に叩き込む。
北海道から東京に出てきて二週間。
いろいろ覚える事があって、私の脳はパンク寸前だ。
「あ、はい!」
春木さんが放って寄越した合鍵を、私は何とかキャッチした。
面接から一ヶ月後。
私は春木さんの個人事務所に案内されていた。
事務所といっても、想像していたものとはちょっと違う。
古いビルの一室で、本がぎっしり詰まった本棚の他には二つの机。
その上にはそれぞれデスクトップ型のパソコンと、資料なのか無数の紙が散乱している。
それと撮影に使うのであろう一眼レフのカメラがいくつかと、たくさんのレンズ。
名前のわからない道具たち。
部屋の隅には、大きな白いソファ。
それが、ここにあるものの全てだった。
「狭いだろうけど勘弁して。一人で全部やってたから、これくらいの広さで充分なんだ。あんたの机はこっちな」
「はい」
「一応ワンフロア、っつっても二部屋。うちのものだけど、あっちは物置みたいなもん。写真現像したりはするけど」
「はい……」
春木さんに着いてきょろきょろと辺りを見回しながら、必死で説明を頭に叩き込む。
北海道から東京に出てきて二週間。
いろいろ覚える事があって、私の脳はパンク寸前だ。