スローシンクロ 〜恋するカメラ女子〜
「写真って、何も壁が無いじゃないですか。国境も、制約も、何も関係ない。言葉が通じなくても世界共通で伝わるので…そういう部分が魅力というか、奥深いものだなとは感じてますね」


春木さんの言葉は、夜のしんとした空気と


「目の前にあるものを質感や匂いごと表現するために、余計なものは写り込ませたくないんです。それは雑音と同じなんで、徹底的に排除したい。写真って、削げば削ぐだけ良くなると俺は思います。いつも意識してるんですけど」


それから私の心に
ゆっくりゆっくり染み込んでいく。


「月並みですけど写真の本質って結局、自分の心の中にあるものがそのまま映し出される事だと思うんです。だから、」



あぁ また私は
この人に惹かれてしまう。



「……いつまでも忘れられないものこそ写真に残したいんです。ただの記憶が永遠のものになるから」
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