スローシンクロ 〜恋するカメラ女子〜
「事務所も狭いし、アシスタントなんていらないって言ったんだよ。なのにこの業界、おせっかいな人間が多いんだ。ほとんど勝手に募集出されてさ」


春木さんは吐き捨てるように口にする。


それを聞かされて私はどうしたらいいんだろう?

何となく居心地の悪い思いをしながら、背の高い彼を見上げる。


「あの、春木さん」

「ん?」

「採用してくれてありがとうございました」


あぁ、と涼しい顔をして春木さんは缶コーヒーに口を付ける。
いつでも飄々とした態度を崩さない人だった。


「春木さんが来てくれなかったら、私は絶対不合格でしたから」

「だろうね。あんたもなかなかチャレンジャーだよね。写真部程度の経験で俺のアシスタントに応募してくるなんて。ただの本屋のお姉さんだったのに」

「あの……どうして私を採用してくれたんですか?」
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