スローシンクロ 〜恋するカメラ女子〜
その夜、私達は事務所で個展の最終準備に追われていた。

招待状の送付漏れがないかリストをチェックしていると、気がついた時には22時を廻っていた。


「コーヒー淹れますね」

「ん。」


しかめっ面でパソコンと向かい合っている春木さんにそう声をかけ立ち上がった瞬間、春木さんの携帯電話が鳴った。


「はい。あ、お疲れさまです……」


さほど気に止めず、私はシンクに向かう。


「え?」


春木さんはそう言ったきり何も言葉を発しない。

不思議に思い振り返って驚いた。

電話を耳に当てたままの春木さんの顔色は真っ白で
完全に血の気が消え失せている。



「会場が?」
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