世界は案外、君を笑顔にするために必死だったりする。-deadly dull-
昼休憩になり、私達は物理室で昼食をとっていた。

そして唐突に、坂瀬くんが声を上げた。


「あのさ」


意を決したような、絞り出すような声に、私達は注意を坂瀬くんの方に向けた。


「どうした」

「...えっと、来週さ、祭りあるじゃん?秋祭り」


秋祭りは、私達の学校の近くであるお祭りのこと。
たくさんの屋台が出て、季節外れの花火が上がって、とても盛り上がる。

そういえば、近頃行っていないなと思う。
子どもの頃は親に連れられてよく行ったものだったけど、成長するとそんな機会も徐々に減って行った。


「行かない?四人で」


坂瀬くんは緊張気味に言う。


「いいんじゃない?楽しそう」

「うんうん、楽しみ!」

「確かに、行ってみてもいいかもな」


私が同意すると、あとの二人も頷いた。


「本当?あー、よかった。断られたらどうしようかと思った」


坂瀬くんは安堵の溜め息を漏らし、はにかんだ。

秋祭りなんて、本当久々。
それ以前に、お祭り自体久々だ。
< 111 / 154 >

この作品をシェア

pagetop