世界は案外、君を笑顔にするために必死だったりする。-deadly dull-
秋祭りまでの一週間、私は色々なことを考えていた。

坂瀬くんに色が見えないことももちろん考えていた。

でも、どんな服装をして行くか、なんて、まるで初デートのようなことを主に考えてしまっていた。

自分でも気づかないうちに、私は浮かれてしまっていたようだった。


「もしもし、日和ちゃん」

「もしもし?どうしたの、翡翠」


そして、翡翠から電話がかかってくることがあった。


「あのね、チャンスだと思うの!」

「な、なんの?」


翡翠が興奮気味に言うから、私は少し戸惑ってしまう。


「気持ちを伝える!」

「き、気持ち?」

「うん。お祭りってそんなイメージあるじゃん?好きだって気持ち、伝えたら?」


好きって気持ち、か。

伝えたら、どうなるのかな。

でも、これがチャンスなら伝えたいと思う。
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