世界は案外、君を笑顔にするために必死だったりする。-deadly dull-
「おい遊佐。飯食うぞ」

「はぁ?何言ってんの...?こんな時に呑気にご飯なんて!」


怒りに任せて怒鳴る。
教室の視線は、全て集まった。

でも、青柳颯太は冷静に、取り乱すことなく私を見つめ、一言、呟くように言った。


「全て話す。お前に、知っておいてもらわなくちゃいけないことだ」


その言葉に、私は黙り込んだ。

私が知らなければいけないこと。

私が知らないこと。

青柳颯太が、守ってきたもの。

天馬が、抱えてきたもの。


「...分かった」


私は頷き、青柳颯太の後をついて歩いた。

着いたのはいつも通り、物理室。

二人だけの物理室は、妙に静かだった。

優しく頷いてくれる翡翠も、場を盛り上げてくれる坂瀬くんもいない。

不器用に優しいこのツンデレと、素直になれない天の邪鬼で、何が出来るのか。

それでも、知らなくてはいけない。

知って、天馬を助けなければいけない。
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