世界は案外、君を笑顔にするために必死だったりする。-deadly dull-
「天馬が色を認識できないことはもう知ってるよな」

「うん。聞いたよ」

「その理由なんだけどさ、生まれつきって言っただろ、俺」

「うん」

「...それは、あながち間違ってないんだ。だけど、6歳から、アイツは色が見えない」


...言っていることが滅茶苦茶だ。
生まれつき見えない。
でも、6歳から見えない。
矛盾し過ぎてて、頷けない。


「意味わかんないんだけど」

「あぁ、分かんねぇだろうな」

「真面目に答えてよ」

「真面目に答えてるよ。つまりアイツは、6歳からこの世にいるってことだ」


...馬鹿にしてる。
きっと、私のことをからかってる。


「こんな時にふざけないでよ」


私は青柳颯太を睨む。


「だから、ふざけてねぇって」


困ったように頭を掻く青柳颯太は、一つ溜め息を吐いて、衝撃的なことを口にした。


「分かったよ。もっと簡潔に言う。アイツは...アイツは人間じゃねぇんだよ」
< 126 / 154 >

この作品をシェア

pagetop