世界は案外、君を笑顔にするために必死だったりする。-deadly dull-

｢は？｣


コイツは私に怒られたいんだろうか。

そんなこと、信じられるわけない。


｢...信じられねぇだろうな。俺も信じられなかったよ、初めて知った時｣


同情されても、頷けない。
人間じゃないなんて、そんなこと、あるわけない。


｢俺らが同じ施設育ちだってことは言ったよな？そんで、天馬が6歳の時に来たことも、知ってるだろ？｣


頷きもしない私に、青柳颯太は一方的に話しかける。


｢アイツは突然やって来た。他のヤツらが来るのと何も変わらない、『仲良くしてやってくれ』って、ただ一言残して同じ部屋に入れられた。でも、事情は他のヤツらと違った。アイツは6歳で親に捨てられたんじゃない。6歳でその施設に造られたんだ｣

｢造られた...？｣

｢あぁ。あの施設はただの孤児院じゃなかった。人造人間を作る、研究所だったんだよ。孤児院っていうのは周りの目を欺くための表向きの姿だった。そして、天馬はそこで作られた人造人間なんだよ｣


突飛すぎる話に、目眩がする。


｢天馬が人造人間だってことを知ったのは、俺らが施設を出る時だった。天馬が施設の人に連れて行かれて、丁度その時俺は一人だったんだ。それで、たまたま近くのテーブルの上に乱雑に置いてある資料が目についた。それを見ると、天馬について色々と書かれていた。名前、設定年齢、容姿、性格、そして天馬の体の構造、とかな｣


名前、年齢、容姿、性格、体の構造。
それを聞いて、辛くなる。

信じられないと言うより、信じたくないというほうが合っていた。

全てが決められていたものだとすれば、天馬の言葉や行動は、天馬自身のものでないように感じた。