世界は案外、君を笑顔にするために必死だったりする。-deadly dull-
「...その声、日和?」


天馬の声が、私の名前を呼んだ。


「ごめんね、今の俺じゃ、日和がどこにいるのかも分からないんだ」


優しい声が、苦しい。

私は天馬の方に歩み寄る。


「近付かないでね。今の俺じゃ、何をするか分からないから」


私の足音で天馬に近付いたことが分かったんだろう。
天馬は私の動きを制止した。


「...君がその、女の子か」


天馬がマスターと呼んだ男が、私の方を見た。


「天馬のことを随分と人間に近付けてくれたみたいだね」


言葉は優しい。
でも、威圧感を感じる。


「気になる存在だな。研究させてもらいたいくらいだ」

「笑えない冗談はよせよ」


背後から、青柳颯太の声がした。


「...颯太じゃないか。随分と大きくなったな」

「あぁ。おかげさまで」


冷めた声に、怖さを感じた。
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