世界は案外、君を笑顔にするために必死だったりする。-deadly dull-
「天馬、良かったな。兄弟と彼女が見送りに来てくれたみたいだぞ」

「...そう、ですね」

「違う、私は見送りに来たんじゃない、連れ戻しに来たの」

「止めてよ、日和。俺はもういいんだって」

「ふざけんな天馬。本気で死ぬ気か」


青柳颯太の語気に力が入る。

「死ぬ?...元々俺は人間じゃない。ロボットみたいなもんだ。死ぬもなにも、欠陥品は、壊して廃棄。普通だろ?」


見たことがない表情。
冷たくて、優しくて、穏やかで。
人間らしさが薄らいでいて、どこか不気味だった。


「本気で思ってる訳じゃないだろ、天馬」


青柳颯太の目が、天馬を鋭く捉える。


「...はは、なんとなく分かるよ、今の颯太の顔。怖い顔してるだろ?」


笑っているけれど、その目は何も映していない。
光を宿していない目は、やっぱり不自然な気がした。
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