世界は案外、君を笑顔にするために必死だったりする。-deadly dull-
「...ねぇ、空って何色?」


唐突に、天馬がそう言った。

私達は突然のことに、その質問に答えられない。


「...青、だよね」


天馬は少し自信が無さそうに言った。


「...見たことがないんだ、本物の空を」


天馬はどこか遠くを見ているようだった。


「色を見たことがなくても、俺は知ってるんだ。6歳であれば知っているであろう知識を入れられた俺は、色を知ってる。だから、俺が見ている空は毎日色が違う。赤、ピンク、黄色、紫。でも、我に返ると、いつだって真っ白だ」


青柳颯太は俯いた。
今までの天馬を知っているからこそ、その天馬の言葉が苦しいんだろう。


「俺の歩く道は、他の誰とも変わらないはずなのに違う。俺は黒いアスファルトの上を歩いたことがなかった。誰もが歓声を上げる花火を見て、綺麗だと思ったことなんて一度もなかった。...でも」


そこまで言って天馬は、微笑んだ。
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