世界は案外、君を笑顔にするために必死だったりする。-deadly dull-
いつもより、小さな光。
眩しさより、異常さを感じる。
そして、懐かしく感じる声がした。
「日和、日和」
あぁ、少し高くて、優しくて、ずっと聞きたかった声だ。
私は、ゆっくりと目を開けた。
「日和!」
ぼんやりとする視界で捉えた、私の好きな人は、半分だけが色付き、もう半分は黒で縁取られた白い世界にいた。
「天馬...」
「日和...よかった...」
涙を浮かべた彼を、はっきりしてきた視界で捉え、私は彼の姿に驚いた。
「天馬...っ、戻った...?」
「...うん。日和のおかげで」
穏やかな笑顔、優しく頬に触れる優しい手。
安心から、涙が溢れた。
伝わった...?
青柳颯太の優しさに溢れた思い、私の愛しさに溢れた想いが。
「...日和、目...」
天馬が申し訳なさそうに言った。
「...うん、片目だけ、色が見えないみたい」
「...そっか、俺が...片目の色を、奪っちゃったんだ」
天馬はそう言って目を伏せた。