世界は案外、君を笑顔にするために必死だったりする。-deadly dull-
メモをもう一度見る。

坂瀬くんは、寝ることが好き。
"?"がついた頼りないその情報と、今目の前にいる坂瀬くんを見る。

うん、寝ることが好きなのは間違っていないんじゃないかな。

そう思っていると、廊下が騒がしくなる。
そろそろ休憩時間が終わって、次の授業。

私はそのメモを隣の机の上に置き、伏せた。

メモを勝手に見ることは、あまり知られない方がいいことだし。

そして、ゾロゾロとクラスメイトが帰ってくる。
チャイムが鳴って、先生が入ってきて。
号令で立ち上がって、礼をして着席をする。

その飽きてしまった一連の動作をして、ちらと坂瀬くんを見た。

ふわふわとした栗色の髪が風に靡く。
目を覚ました坂瀬くんは、窓の外を眺め、配られたプリントで紙飛行機を折り、飛ばそうとした。

しかし、坂瀬くんは紙飛行機を手から話す直前で、それを思い留めたのか窓の外から視線を逸らした。

そして、プリントを開き、折り目を伸ばしてペン回しを始める。

緩い人だなぁとは思っていたけど、随分と自由でマイペースな人だと思う。

私は坂瀬くんから視線を逸らして、プリントに視線を向けた。

英語の単語の小テスト。
あぁ、やる気が失せる。

いっそ私が紙飛行機を飛ばしてやろうかと思ったけど、さすがにその勇気はなかった。
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