世界は案外、君を笑顔にするために必死だったりする。-deadly dull-
二人で並んで歩く廊下は、いつもより狭く感じる。
青柳颯太がこんなにも近い距離にいるのなんて、初めて。

青柳颯太は真っ直ぐ前を見て歩く。
いや、多分私の方が今は異常だ。

青柳颯太の顔を見て、前を見て。
それを何度も繰り返しているから。


「...何」


青柳颯太は不機嫌そうな顔を私に向ける。


「...いや、別に」

「落ち着きがねぇヤツ」

「う、うるさいよ」


初めて話したのに失礼なヤツ。

でも、思ったより話しかけにくいヤツではない。

それからは無言のまま職員室について、私達は資料を受け取り、多目的室に入った。

仕事は資料をホッチキスで纏めること。

私はその仕事をしながら、青柳颯太をチラチラと見ていた。
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