世界は案外、君を笑顔にするために必死だったりする。-deadly dull-
「...危ない」

「え?」

「手元。見てないとホッチキスの歯で怪我するぞ」

「え、あぁ、ありがと」

「本当、お前子どもみたいだな」

「うるさいなぁ」


優しいのかなんなのか。
それに、坂瀬くんにあんな怪我させたくせに私の怪我を注意してる時点で変なヤツだと思う。

眼鏡のレンズの奥の瞳は、冷たく私を見ている。
それなのにどこか優しい感じがするのは、一応人間らしさはあるということだろうか。


「あのさ」

「何」


私の呼び掛けにぶっきらぼうに答えた彼は、資料に目線が向いている。


「坂瀬くんとは仲良いの?」


そして、私の言葉に、青柳颯太は作業の手を止め、私の方を向いた。
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