世界は案外、君を笑顔にするために必死だったりする。-deadly dull-
次の日の朝。
昨日のことを考えてグルグルと思案していると、頭上から明るい声が降ってきた。
「おはよ、遊佐さん」
「坂瀬くん...おはよう」
「俺ね、最近この本にハマってるんだ」
坂瀬くんは鞄から本を取り出す。
そんなに前のことではないのに、久々な気がした。
「この本はね、小説を書いている一人の少年の話なんだ。少年は現実世界とは真逆の、もう一人の自分を作り出して... 」
楽しそうに話を続ける坂瀬くん。
でも、私は前のように純粋にそれを聞けないでいた。
「だからこれ、すっげぇオススメ。暇があれば読んでみて」
「えっ?あぁ、うん。分かった。ありがとう」
私は坂瀬くんから本を受け取る。
まだ何も知らない。
坂瀬くんに、深くは触れられない。
何となく、この本のようだと思った。
借りた本だから、自分の思い通りには出来ない。
自分の好きなページに折り目をつけることも、線を引くことも。
自分の思い通りにしてはいけない。
自分のものじゃないから。
私には関係がないから。
それでも、なぜか深く知りたいと思うのは、やっぱり坂瀬くんをどこかで特別に思っているのだろうか。
昨日のことを考えてグルグルと思案していると、頭上から明るい声が降ってきた。
「おはよ、遊佐さん」
「坂瀬くん...おはよう」
「俺ね、最近この本にハマってるんだ」
坂瀬くんは鞄から本を取り出す。
そんなに前のことではないのに、久々な気がした。
「この本はね、小説を書いている一人の少年の話なんだ。少年は現実世界とは真逆の、もう一人の自分を作り出して... 」
楽しそうに話を続ける坂瀬くん。
でも、私は前のように純粋にそれを聞けないでいた。
「だからこれ、すっげぇオススメ。暇があれば読んでみて」
「えっ?あぁ、うん。分かった。ありがとう」
私は坂瀬くんから本を受け取る。
まだ何も知らない。
坂瀬くんに、深くは触れられない。
何となく、この本のようだと思った。
借りた本だから、自分の思い通りには出来ない。
自分の好きなページに折り目をつけることも、線を引くことも。
自分の思い通りにしてはいけない。
自分のものじゃないから。
私には関係がないから。
それでも、なぜか深く知りたいと思うのは、やっぱり坂瀬くんをどこかで特別に思っているのだろうか。