世界は案外、君を笑顔にするために必死だったりする。-deadly dull-
思えば、翡翠と意気投合したのは、同じ考えを持っていたからだ。
私は景色を四角く切り取って、翡翠は想像の世界を四角く切り取る。
私は写真が好きなわけではないけど、なんとなく少ししていることが似てるね、と話したことがあった。
「私ね、昔ある男の子に言われたことで、忘れられない事があるんだ」
絵の前で、翡翠はそう言った。
「もう、随分と前のこと。5歳とか、そのくらいかな。幼稚園の時」
翡翠の視線は絵に向いたまま。
私は何も言わず、その言葉を聞いていた。
「母の日にね、お母さんに何をあげようかって迷ってたの。肩たたき券かな、それとも、お手紙かな。ずーっと悩んで、お母さんは花が好きだから、花を摘んであげようっていう結論に至った。それで、幼稚園を秘密で抜け出して、お花を探しに行ったんだ」
翡翠はそう言って、懐かしそうに微笑んだ。
私は景色を四角く切り取って、翡翠は想像の世界を四角く切り取る。
私は写真が好きなわけではないけど、なんとなく少ししていることが似てるね、と話したことがあった。
「私ね、昔ある男の子に言われたことで、忘れられない事があるんだ」
絵の前で、翡翠はそう言った。
「もう、随分と前のこと。5歳とか、そのくらいかな。幼稚園の時」
翡翠の視線は絵に向いたまま。
私は何も言わず、その言葉を聞いていた。
「母の日にね、お母さんに何をあげようかって迷ってたの。肩たたき券かな、それとも、お手紙かな。ずーっと悩んで、お母さんは花が好きだから、花を摘んであげようっていう結論に至った。それで、幼稚園を秘密で抜け出して、お花を探しに行ったんだ」
翡翠はそう言って、懐かしそうに微笑んだ。