世界は案外、君を笑顔にするために必死だったりする。-deadly dull-
「そうなんだ」


まるで、青柳颯太を知らないような、そんな言い方だった。


「やっぱ、俺の知ってる颯太とは違う。きっと、そっちが本当の颯太なんだと思う」

「それってどういう...」

「じゃあね、遊佐さん」


気づけば、教室の前にいた。

坂瀬くんは私から一気に離れて、関わりのない赤の他人のようになった。

それはなんとなく、青柳颯太に関わるなと言われたあの日から感じていた壁ではなくて、きっと、本当の青柳颯太を知らない坂瀬くんが、本当の青柳颯太を知っている私を、よく思えなかった、そんな壁のように思えた。

本当の青柳颯太なんて、分からない。
アイツもどこか、坂瀬くんのように、見えない面があって、人との一定の距離をとるような、そんなヤツに思えた。
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