世界は案外、君を笑顔にするために必死だったりする。-deadly dull-

｢...俺にすりゃいいじゃん。そんなに辛そうな顔するくらいならさ｣

｢な、何言って...｣

｢俺はお前にしか優しくしない。お前が望むならお前以外と話すこともしねぇ｣

｢待って、待ってよ...｣

｢なぁ、俺じゃ駄目か？｣


悲しげな青柳颯太の表情に、言葉を失う。

そんな私を見て、青柳颯太はふっと笑った。


｢なんてな｣

｢えっ...？｣

｢俺は天馬から大切なものを奪ったりしない｣


青柳颯太はそう言って、私を見た。


｢...教えてやるよ。俺と天馬のことを少しだけ。そうだな...お前には本を借りてるから、その礼分な｣


青柳颯太はそう言って、私から視線を逸らした。

もう、よく分からなかった。
次々変わっていく話題に、私は置いていかれそうになる。

でも、やっと少し、二人のことを知ることができる。

その思いがあるおかげで、私は平静を保っていられた。


｢俺らのことを話すには...そうだな、まずは少し、俺の昔話に付き合って貰おうか｣

｢...わかった｣


私の返事に小さく笑い返して、青柳颯太は話始めた。