【短】友達から始めましょう
目の前で眠っている水沢のお父さんは
すごく幸せそうに見えた。
穏やかな目元は水沢と瓜二つだった。
「・・−ヒック、お・・とう−・・ック・・
お父さん−・・っ!!!!!」
その時、初めて水沢が泣いた。
こんなに感情を剥き出しにした
水沢を俺は初めて見た。
目頭が熱くなった。
俺の目からも涙が流れた。
それから水沢は数日間学校を休んだ。
俺と茜と和希は葬儀に出席しなかった。
水沢ができれば来ないでほしい、と
俺たちにそう告げたから。
多分・・衰弱しきった自分を
俺たちに見られたくなかったのだと思う。
水沢がいつも通りの、
でもどこか寂しそうな笑顔を浮かべながら
俺たちの前に現れたのは、
6月のよく晴れた日だった。