王子様と魔法使い
「えー、それでこの答えはX=15になるわけ……‘ガララッー’……おい、遅刻だぞ。しかもまた俺の授業中!!」
4限の数学の授業中入ってきたのは高坂だった。
「すみません、遅刻しました。」
「お前は俺のことがそんなに嫌いか!?毎度毎度なんで俺の授業中なんだよ!」
「好きか嫌いかで言えば、無興味です。」
「どっちでもないじゃねーか!」
「すみません、偶然なんで許してください。そしてまた偶然プリントできませんでした。」
「お、おまえなぁ…先生、泣いていい?もうこれ、泣いていいよな…?」
そういえば、学校に来てないと思ったら橘先生の授業中に来ることあったな。
でも、プリントって…
確か昨日持って帰ったんじゃ…?
「でも、先生。プリント昨日机の中に忘れてたんです。それをわざわざとりに戻ったんです。そこは評価してください。」
「なのにしてこなかったんかい!」
「するはずだったんですけど、ちょっと色々あって。本職優先させました。」
「……魔法使いさんよ、だったら俺の今の気持ち即興でハッピーエンドにしてくれよ。」
!先生も高坂さんのこと知ってんだ。
というより、本職…?
「そうですねー…、いつかやります。というより、先生また奥さんと喧嘩でもしました?」
「なっ…?!」
「原因はー……なるほど、仕事と私どっちが大切なの的なものですね。それは先生が悪いですよ。」
「?!?!?!な、なんで…」
「本職なめんなよ。と言いたいところですが、昨日の夜中メール来たので。先生の奥さんとはメル友です。」
携帯片手に先生にドヤ顔を決める高坂。
クラスでは二人のやり取りに笑いをこらえるのに必死だ。