王子様と魔法使い
「あ、ごめん。みんなあなたのこと王子様って呼んでるからつい。」
「あー、いやいいよ。それより、高坂さんどうしたの?」
「明日提出のプリント忘れたの。とりたいんだけど…」
「どうぞ?」
いや、どうぞ?って言われても……
「あなたが座ってる席、そこ私の席なんだけど……」
「え?……あっ!ご、ごめんね?!」
慌てて椅子から立ち謝ってくる。
別に怒ってないんだけど、そんなに怒ってるように見えたか…?
軽く首を傾げながら机の中にあったプリントを取り出し、鞄にしまった。
「この席、お気入りなの。」
「……え?」
グラウンドの見える窓際の一番後ろ、そこが私の席。
「外のグラウンドが見える。廊下から遠いからうるさくもない。隠れて携帯も弄れる。」
「えっと…それはよかったね…?」
何が言いたいのか分からない様子で私を見つめる王子様。
困惑してる王子様可笑しそうに笑いながら
静かに言葉を続けた。
「それにこの席は先生からは私が見にくいけど“私からは先生がよく見える”の。」
そして
「この席はクラス全員の様子も“よく見える”の」