サイレント・キス 〜壁越し15センチの元彼〜
「当たり前。私の勘の鋭さなめないでよー? そこら辺の女の十倍は研ぎ澄まされてるんだからね」
「十倍って……それは凄い」
「ちょっとー、凛花ちゃん信じてないでしょー」
本当私凄いんだから、と言って再び大きく開かれた口にロコモコを放り込んだ北沢さん。
いくら勘が良いとはいえ、他の女の人の十倍は研ぎ澄まされてるって……それは最早予知能力とか、人の心理が読めるとか、そういうレベルなのでは?
「前にね、凛花ちゃんと朝比奈さんが社内に話してる時にちょっと思ったの。普通に仕事の話をしてただけだと思うんだけど、凛花ちゃんがあまりにも朝比奈さんを恋しそうに見てるなーって思ってね」
「えっ!そ、そんな分かりやすかったですか⁉︎」
つい、両手をテーブルについて腰を浮かせてしまった私。
あまりにも慌ててリアクションをしてしまった私に北沢さんはひどく肩を揺らして笑った。
「やっと認めたー」
「あっ……!だ、だって」
「いやいや、いいのよ。否定したって私はもう確信しちゃってるんだから」