サイレント・キス 〜壁越し15センチの元彼〜
「凛花ちゃん、捕まえた」
驚いて止まってしまった足が少しずつ震え出し、動かなくなった。その隙に一気に距離を詰めてきた寺坂さんが私の背中に両腕を回した。
「やっ……やだ!やめてください」
「えー? なんで? いーじゃん。俺といいことしようよ」
「やだっ……やめて!誰かっ……」
両手で寺坂さんの胸を押す。でも、私の力ではびくともしなかった。
「静かにして」
「やだっ!やだ!誰かっ……‼︎」
このままじゃ、本当にホテルに連れて行かれてしまう。
そう思うと怖くて、でも、かといってどうする事も出来ず、ただ足をガクガクと震えさせていた。
すると────