サイレント・キス 〜壁越し15センチの元彼〜


「ん」


カーテンの隙間から微かに溢れている日差しが眩しくて、瞼をこすり開けた。

自分の部屋のベッドの上で寝ていたらしい私は、とりあえず上半身を起こした。すると、すぐそこの壁にもたれて寝ている深月くんが目に入ってきた。


「深月くん……」

「ん……あ、起きたか」


深い眠りではなかったのか、深月くんが私の言葉に反応して重たそうな瞼を開けた。

足元に布団をかけることもなく、ただ壁にもたれて座ったまま、うたた寝していたらしい深月くんに私の胸がきゅっと締められた。


「……ずっと、居てくれたんだ」

「別に……ちょっと寝たかったから寝ただけ。それより、気分は?」


ぶっきらぼうに、ちょっと寝たかったから寝ただけだと言った深月くん。でも、本当は私の事を思って側にいてくれたんだと思う。


「うん。おかげさまでもう大丈夫だよ。ありがとう」


私は笑って深月くんに返事をし、ベッドから降りた。

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