サイレント・キス 〜壁越し15センチの元彼〜
他人の幸せを考え、願い、その最善の道を自分自身の意志で選ぶことが出来た。
苦しいし、辛いけれど、それでも、私の選択は間違ってないと思うことも出来た。
それは、全部、全部、貴方のおかげ。
いつも、貴方の愛が隣にあったから。
「……深月くん」
私は、瞼を閉じたままで額を壁につけた。
ひんやりと冷たさを感じる額を少しだけ離すと、私は静かに壁にキスを落とした。
「私……また、深月くんの事を好きになってもいいの……?」
今度は、絶対に見失わない。
だから、もう一度……もう一度だけ。
「……お願い」
私はもう一度、貴方に恋をしたい────。