君の世界

「彩花(あやか)帰ろ」



授業が終われば迎えに来る彼



眩しいほどの笑顔は多くの人の視線を集める。



「ごめん。先生のところ行かなくちゃいけないから先行っといて」

「わかった」



特に何かを言われるでもなく彼は先に行ってしまった



「ねーなんであんたみたいな子が奏人君と一緒にいるの?」



奏人がいなくなった途端これだ



別に珍しいことでもない



クラスの中でも可愛い子がテンプレを並べた言葉を並べる



「何? 一緒にいちゃいけないわけでもあるの?」

「……っ、生意気。奏人君は好きであんたと一緒にいるんじゃないの。幼馴染だから仕方なく一緒にいるの」

「そうかもね。でもそれ理由になってないよね」



私はそれだけ言って任されたプリントを持って行こうと席を立った。



何か言っているが無視した



そんなことくらいわかっている



「じゃあ、奏人に選んでもらえば?」



教室を出る前にその女に言ったら



面食らったような彼女はにやりと口角を上げた



「楽しみにしといてね」



馬鹿だなぁ、と思う。



奏人のことを何もわかっていないのに



きっと勝った気でいるのだろう。



アピールしたところで



何の意味も成さないのに。




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