Mission.N
この状況は今回が初めてではない。

社長は用心深い性格らしい。

あたしの秘密に気づいているのか、それとも同業者がいるのか…。

どちらにしろよくわからないけれど、社長は定期的に4ケタの暗証番号を変える。

ちなみに暗証番号はアルファベット4文字である。

変えられたとしても、45万以上もある通りの中から1つ当てるだけだ。

めんどくさいうえに骨が折れる作業だが、当てるしか方法はない。

「えーっと…」

カタカタとキーボードをたたきながら、思い当たるものを全て打った。

しかし、
「当たらないなあ…」

もうそろそろ当たってもいい頃だぞ?

なのに、当たらないと言うのは一体どう言うことなんだ?

「クッソ、思い当たるものは切れたぞ…」

毒づくように呟いた後、あたしは息を吐いた。
< 11 / 92 >

この作品をシェア

pagetop