Mission.N
これは一体、どう言うことなの?

そう思っていたら、
「ただし、条件がある」

社長が人差し指を見せた。

長くて細いその指は、日頃からちゃんと手入れされているのだと思った。

「条件、ですか…?」

会社を辞めろとか、そう言うことなのだろうか?

いや、そう言う安易なことであって欲しい。

社長は人差し指であたしのあごに触れたかと思ったら、クイッとあげた。

えっ…?

今度は何のまねなの?

茶色い彼の瞳を見つめていたら、
「俺のものになれよ」

形のいい唇が動いて、音を発した。

「はっ、はい…?」

今、ものすごい訳がわからないことを言わなかったか?

戸惑っているあたしに、
「俺のものになれよ、夏梅」

社長がもう1度言った。
< 15 / 92 >

この作品をシェア

pagetop