Mission.N
「まじめで優秀だから、藍田くんのことは心の底から気に入ってるんだよね。

藍田くんの前の歴代の秘書たちは本当にロクでなしだったから」

ブツブツと呟いている社長に言い返すことができなくて、あたしは目をそらすようにうつむいた。

この状況から早く逃げ出さなければ…。

停止しかけていた頭を動かして、この状況の脱出の方法を考える。

「この先もできれば俺の秘書を務めて欲しいんだよね。

だから…」

社長がそこで言葉を区切った。

「見逃してやらない、と言うことはないよ？」

えっ？

そう言った社長に、あたしはうつむいていた顔をあげた。

それは一体、どう言うことなんだ？

社長はあたしの手にＵＳＢメモリーを握らせた。
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